(ネタばれ注意!!)
7歳違いの異母姉弟が、お互いの惹かれる想いを形にできないまま、55年の歳月が流れる。
弟が死病を得、お互いが出合い育った古びた家が取り壊されるその時になって、来し方を振り返りながらその家で1日を過ごす。
やがて月に照らされながら、70歳と63歳の二人は結ばれ、そして手に手を取り合って…。
改めてストーリーを要約してしまえば、どうしようもなくアナクロ(古臭く類型的)であり、年老いた二人の逢瀬は考えようによってはグロテスクでさえある。
だが、そんなことを微塵も感じさせない、心に染み入る作品になっている。
まず、「美妙(びみょう)」「秋雨(しゅうう)」という姉弟の名前がいい。
「霧の香」「光清けし」…と続く各章のタイトルがいい。
随所にちりばめられている、やや懐古めいた美しい言葉の一つ一つが、作品に品格を与え、清らかで優しい気持ちにさせてくれる。
そして、終章二人が結ばれるシーンの構成の見事さ
月影が、虫時雨が、乳の上の傷あとが…昔日のエピソードと交錯し、55年に亘る想いが溢れだす。
改めて「ただ一緒にいたかったのだ」との気持ちが、二人をきつくきつく寄り添わせる。
タイトル通り、また、装丁通り美しい小説だ。
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美しき一日の終わり 単行本 – 2012/4/6
有吉 玉青
(著)
年老いて、なおつのる思い。五十余年の純愛が実を結ぶ一日(いちじつ)。
生涯を貫くひたむきで強い思いを端正に綴った、至極の恋愛長編小説
ある日、父が家に連れてきた少年は秋雨(しゅうう)と名乗り、美妙(びみょう)より七つ年下の異母弟であった。それから五十余年、互いへの思いを心の奥底に秘め、それぞれの人生を歩んだ二人は、取り壊しの決まった、古い家で再会する。ともに暮らした幼い日々をなつかしみながら、長い歳月を慈しむように来し方を語り始めた。生涯のすべてを一日に込めて、至高の愛の姿を描く恋愛長編小説の新境地。
生涯を貫くひたむきで強い思いを端正に綴った、至極の恋愛長編小説
ある日、父が家に連れてきた少年は秋雨(しゅうう)と名乗り、美妙(びみょう)より七つ年下の異母弟であった。それから五十余年、互いへの思いを心の奥底に秘め、それぞれの人生を歩んだ二人は、取り壊しの決まった、古い家で再会する。ともに暮らした幼い日々をなつかしみながら、長い歳月を慈しむように来し方を語り始めた。生涯のすべてを一日に込めて、至高の愛の姿を描く恋愛長編小説の新境地。
- 本の長さ354ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2012/4/6
- ISBN-104062175126
- ISBN-13978-4062175128
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2012/4/6)
- 発売日 : 2012/4/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 354ページ
- ISBN-10 : 4062175126
- ISBN-13 : 978-4062175128
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,166,284位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年8月24日に日本でレビュー済み
2012年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公は僕より少し歳上の女性である。そういう年齢の人が、こういう風に永年思いつめた恋をするという設定にまず驚き、ほぼ一気に本を読み切ってしまった。それは、まさに美しき秋の一日の終わり、そして一つの命の実質的な終わりを象徴しているわけで、読み終えた後、しばらくの間そう言う余韻に包まれてポケーっとすることができた。これも、小説という一つのバーチャルな世界がもたらす、良い意味での副作用であろう。
2017年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
流れるようなきれいな文章。
でも、他の方も書いてますが、最後の結末は気持ち悪いですね。血の繋がった者同士でしょう?しかも、分別ある老齢の大人が。
でも、他の方も書いてますが、最後の結末は気持ち悪いですね。血の繋がった者同士でしょう?しかも、分別ある老齢の大人が。
2013年9月18日に日本でレビュー済み
みなさんのレビューが素敵で読みでがありました。
我が年は美妙さんよりちょっと上ですから、自分の事と置き換えてみると
なんと切ない想いを抱き続けたことよと、これが純愛なのかしらと。
母上のファンでしたから、玉青さんがこんな繊細な本を書いてくれたことが嬉しい。
このあとの家族の葛藤を思うと切なくなります。
でもこれでよかったとか様々な余韻を残す美しい本です。
我が年は美妙さんよりちょっと上ですから、自分の事と置き換えてみると
なんと切ない想いを抱き続けたことよと、これが純愛なのかしらと。
母上のファンでしたから、玉青さんがこんな繊細な本を書いてくれたことが嬉しい。
このあとの家族の葛藤を思うと切なくなります。
でもこれでよかったとか様々な余韻を残す美しい本です。
2012年10月10日に日本でレビュー済み
読み応えのある、本当に美しい話で、有吉さん、さすがだなあと思いました。
女性の気持ちの動きやしぐさの描写など細やかで綺麗だと思います。
でも、最後に二人が結ばれるのはどうかな。
非常に美しく書かれているので忘れそうになりますが、杖をついた70歳の老婆と63の初老の男性、それも異母姉弟。
最後までプラトニックで終わった方が私としてはしっくりくる結末だったと思います。
女性の気持ちの動きやしぐさの描写など細やかで綺麗だと思います。
でも、最後に二人が結ばれるのはどうかな。
非常に美しく書かれているので忘れそうになりますが、杖をついた70歳の老婆と63の初老の男性、それも異母姉弟。
最後までプラトニックで終わった方が私としてはしっくりくる結末だったと思います。
2012年7月16日に日本でレビュー済み
昭和から現代まで、数世代に亘る女性を描いているところは、有吉佐和子の「紀ノ川」や、桜庭一樹の「赤朽葉家の伝説」を、まずは思い起こさせる。
姉弟が最後の一日を過ごす現在と、彼らの出会いからこれまでを描く回想を織り交ぜながら、二人が幼い日々を過ごした家を舞台に、静かに過ぎていく時間が描かれている。特に終わり方は秀逸。
昭和を生き抜いてきた二人の素敵な一日を共有できたことに満足する。
姉弟が最後の一日を過ごす現在と、彼らの出会いからこれまでを描く回想を織り交ぜながら、二人が幼い日々を過ごした家を舞台に、静かに過ぎていく時間が描かれている。特に終わり方は秀逸。
昭和を生き抜いてきた二人の素敵な一日を共有できたことに満足する。
2012年7月2日に日本でレビュー済み
読んでいる間は昭和大全みたいな話だと思っていましたが、エンディングにはやられました。最後で腑に落ちるタイトルの美しさ。